所持品検査と有形力行使のつづき

この前の続きである。
最決平成15年9月27日刑集57巻5号670頁LEX/DB28085438
について。
このテーマについて大変有益な論稿がある。時間のある方は是非参照していただきたい。
(法学教室自体は、法学部・法科大学院のある大学の図書館に必ず置かれていると思われる)

大澤裕(名古屋大学教授。新司法試験委員)・辻裕教(法務省刑事局参事官)
「対話で学ぶ刑訴法判例 ホテルの客室における職務質問とそれに付随する所持品検査」法学教室308号76頁以下。

本件の押さえつけ行為について、次のような記述がある。
以下は同誌86頁以下の記述である。
「大澤 本件の場合には、警察官がホテルの客室に立ち入った後、ソファーに相手方である被告人を押さえつけて、その状況下で所持品検査が行われているわけでありまして、まさに、この部分が『強制にわたらない限り』というところに触れて、強制による違法な所持品検査という評価を受けることにならないだろうか、という疑問も生じそうですが、その点はいかがでしょう。
辻 確かに、本件の事案では警察官2人で被告人の体を押さえつけて、その間に所持品検査が行われておりますので、そのように押さえつける行為が、所持品検査を行う手段として、被告人の所持品検査を拒否する意思あるいは行為を排除するための手段として、行われていたとしたら、それは強制にであると言わざるをえないのではないかと思います。ただ、最高裁の判断は、そのような押さえつけは、所持品検査をするための手段ではなくて、被告人が警察官に殴りかかった行為を制止し、引き続き同様の行為に及ぼうとするのを防止するための行為であったということで、その意味で強制ではなかったという評価なのではないかと思います。
大澤 本決定は、所持品検査の適法性を議論しているところで、『眼前で行われる所持品検査について、被告人が明確に拒否の意思を示したことがなかった』ということを言っています。本件では、所持品検査について承諾はなかったとされているわけで、承諾がない以上は、それを明確に拒否していようが、黙示的に拒否していようが、両者の違いは、本来、所持品検査の適法性に直接影響することはないはずではないかと考えられます。では、本決定がなぜそのようなことを言ったのかといいますと、本件の場合、仮に所持品検査を明確に拒否して抵抗しようとする相手方を強制力で押さえつけることによって、所持品検査が可能であったとすると、強制にわたる所持品検査として違法評価を受ける可能性がある、しかし、本件では、押さえつけが、そのような所持品検査を可能とする手段として用いられたわけではなく、そのような用いられ方をする際の前提となるような相手方の所持品検査に対する明確な拒否がなかった、そのことを明らかにする意味でては、この判示部分が適法性判断にかかわりを持ってくる、そのような読み方ができるのではないかと思います」
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by meronpanss | 2006-07-01 00:18
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