早速見てみたが

新司法試験論文式試験(刑事系科目)
http://www.moj.go.jp/SHIKEN/SHINSHIHOU/shin02-13-06.pdf

刑事訴訟法について。
またまた逮捕に伴う捜索・差し押さえ(刑訴220条。憲法35条)が出たようである。
実はこの論点、ここ数年の司法試験で頻出の論点である。なぜ、こうも出るのだろうか。

平成17年度第1問
 警察官Aは,覚せい剤の密売人と目される甲を覚せい剤譲渡の被疑者として通常逮捕し,その際,甲が持っていた携帯電話を,そのメモリーの内容を確認することなく差し押さえた。その上で,Aが,無令状で,甲の携帯電話を操作して,そのメモリーの内容を精査したところ,同携帯電話のメモリー内に覚せい剤の仕入先と思われる人物からの受信電子メールが保存されており,同メールに,翌日の某所における覚せい剤売買の約束と思われる記載があった。
 そこで,Aが,同メールに記載された日時に待ち合わせ場所に赴いたところ,乙が近づいてきたので,Aは,乙に対して,甲を名のった上で「約束の物は持ってきてくれましたか。」と言った。すると,乙は,Aを甲と誤認して,覚せい剤を差し出したので,Aは,乙を覚せい剤所持の容疑で現行犯逮捕した。
 以上のAの行為は,適法か。

平成16年度第1問
 警察官は,被疑者甲及び乙について,Aをナイフで脅迫し現金を奪った旨の強盗の被疑事実により逮捕状の発付を得た。
 1  警察官は,甲を逮捕するためその自宅に赴いたが,甲は不在であり,同居している甲の妻から,間もなく甲は帰宅すると聞いた。そこで,警察官は,妻に逮捕状を示した上,甲宅内を捜索し,甲の居室でナイフを発見し,差し押さえた。この捜索差押えは適法か。
 2  警察官は,乙の勤務先において逮捕状を示して乙を逮捕し,その場で,乙が使用していた机の引き出し内部を捜索したところ,覚せい剤が入った小袋を発見した。警察官はこれを押収することができるか。

しかし、この論点、実はくせものなのである。
緊急処分説と相当性説の対立があり、学説上は緊急処分説が多数説である。
ところが、判例の立場はそうではない。
最(大)判S36.6.7(百選A4事件)LEX/DB27681118
は以下のように示していることには、注意すべきであろう。
「(憲法)三五条が右の如く捜索、押収につき令状主義の例外を認めているのは、この場合には、令状によることなくその逮捕に関連して必要な捜索、押収等の強制処分を行なうことを認めても、人権の保障上格別の弊害もなく、且つ、捜査上の便益にも適なうことが考慮されたによるものと解されるのであつて、刑訴二二〇条が被疑者を緊急逮捕する場合において必要があるときは、逮捕の現場で捜索、差押等をすることができるものとし、且つ、これらの処分をするには令状を必要としない旨を規定するのは、緊急逮捕の場合について憲法三五条の趣旨を具体的に明確化したものに外ならない」
→とても、緊急処分説とは言えないであろう。

なお、この点については、池田修=前田雅英『刑事訴訟法講義』(東京大学出版会、2004年)143頁の説明が丁寧である。
「憲法35条は、被疑者を逮捕する場合には令状によらないで捜索・差押えすることを認めている。令状主義の例外である。これを受けた刑訴法は、令状なしでの捜索・差押えを例外的に認めている。具体的には、被疑者を逮捕する場合に必要があるときは、令状なしで人の住居等に立ち入って被疑者を捜索することができ、また、逮捕の現場では、令状なしで証拠の捜索・差し押さえをすることができる(法220Ⅰ・Ⅲ)。ただし、緊急逮捕の場合に、逮捕現場で差押えをしたが逮捕状が得られなかったときは、差押物を直ちに還付しなければならない(法220条Ⅱ)
 このような場合には、令状によることなくその逮捕に関連して必要な捜索・押収等の強制処分を認めても、人権上格別の弊害はなく、捜査上の便益にも適うことが考慮されたものといえよう(最大判昭36・6・7集15・6・915)」
※強調、下線部はGakによる。
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by meronpanss | 2006-05-24 15:35
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