<   2006年 10月 ( 9 )   > この月の画像一覧

必要性・緊急性・相当性?

最決S51・3・16刑集30・2・187LEX/DB24005402(百選1事件)
「捜査において強制手段を用いることは、法律の根拠規定がある場合に限り許容されるものである。しかしながら、ここにいう強制手段とは、有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するものであつて、右の程度に至らない有形力の行使は、任意捜査においても許容される場合があるといわなければならない。ただ、強制手段にあたらない有形力の行使であつても、何らかの法益を侵害し又は侵害するおそれがあるのであるから、状況のいかんを問わず常に許容されるものと解するのは相当でなく、必要性、緊急性なども考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容されるものと解すべきである」
→一般に「必要性・緊急性・相当性」の3要件と言われることがあります。

だが、しかし。
次の記述があります。

酒巻匡「捜査に対する法的規律の構造(2)」法学教室284号67頁
「なお、実行され手段・方法・態様そのものの『相当性(いわゆる社会通念上相当かがとうか)』を独立の判断基準として分析も可能と思われるが、裁判所の行う適否の判断過程をできる限り客観的に顕在化することが望ましいという観点からは、ある捜査手段・方法により侵害された法益を出来る限り具体的に析出することにより、これを当該手段を実施する必要性・緊急性の程度との比較衡量に帰着させることが可能であり、『相当性』は合理的権衡が認められるという結論の表示であると位置付け理解しておくのが適切だと思われる」

長沼範良ほか『演習刑事訴訟法』(有斐閣・2005年)58頁〔酒巻匡〕
「『任意』捜査は第一次的には捜査機関限りの判断と裁量で実施できる(197条1項本文)。それが限界を超えたかどうかは、具体的事案の必要性・緊急性と侵害される法益との衡量の結果『相当』かどうかで決まる」

→相当性は結論を示すものであって、要件ではないとの理解です。

要は、任意捜査の限界を判断するにあたっては、
「捜査手法を用いる必要性とそれによって制約される利益とを比較考量し、相当と認められる」(長沼範良『演習刑事訴訟法』(有斐閣・2005年)180頁〔大澤裕〕)
か否かを判断すれば足りるということでしょう。

必要性・緊急性・相当性を3要件と理解すれば
必要性+緊急性+相当性=適法な任意捜査
との判断枠組みとなります。

一方、酒巻教授らの理解によれば、
捜査の必要性・緊急性と制約される権利・利益を比較考量の結果、前者が優越=相当な任意捜査=適法な任意捜査
との判断枠組みとなります。

前掲の昭和51年決定も、あてはめ段階で、相当であったか否かを端的に判断している点からすれば、酒巻教授らの見解は説得力を有すると言えると思われます。

※もちろん、任意捜査の限界を考えるに当たっては、その捜査活動が任意捜査にあたる(強制捜査にあたらない)ことを画定する必要があります。問題となっている捜査活動が強制捜査に該当すれば、比較考量は問題なりません
[PR]
by meronpanss | 2006-10-31 23:22

破産法改正と民法理論

実は関係することもあります。

内田貴『民法Ⅲ 債権総論・担保物権』(東京大学出版会・2006年)312頁
「改正破産法は、一部の債権者に対する優先的な弁済行為(偏頗行為と呼ばれる)につき、支払不能に陥る前は否認の対象にしないとしていない(破産162条)。支払不能とは、債務者が支払能力の欠乏のために弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済できない状態(破産2条11項)であり、破産手続の開始原因である(破産15条)。弁済行為について、破産の局面で機能する否認権より債権者取消権による取消しが広く認められるというのはバランスを失する。そこで、破産法との整合性を考慮し、弁済期にある債務の弁済行為は詐害行為に当たらないと解するのが妥当ではないかと思われる(弁済の効果を否定したければ破産手続によるべきである)」

その他、森田修『債権回収法講義』(有斐閣・2006年)61頁以下、潮見佳男『法律学の森 債権総論Ⅱ[第3版]』(信山社・2005年)144頁も参照して下さい。

「本旨弁済に対して、詐害行為取消権の行使を認めているのが判例の立場である」という選択肢があれば、マルになるでしょうが、詐害行為取消権認めたケースは極限的な場合であることも忘れてはならないと考えます。

破産法との整合性を考えれば、内田教授の見解も一理ありますが、私自身は結論を留保しています。
[PR]
by meronpanss | 2006-10-28 15:35

最上階では

こんなメニューが。

Tawawa二条店 デザートバイキング
http://www.kyoyasai.co.jp/tawawa/rest_nijo_dessert.html

思い切って男1人で行ってみようかと思ったり。
[PR]
by meronpanss | 2006-10-28 14:12

興味深い本

関心のあるテーマ

宍戸善一・中野通明 編著『ビジネス法務大系 2 M&A ジョイント・ベンチャー』
https://sslserver.sbs-serv.net/nippyo/korekara/bookinfo.asp?No=2934

大杉謙一先生も執筆陣に。

私自身、法人・組織形態の選択と法律問題は興味関心あるところです。
[PR]
by meronpanss | 2006-10-28 02:13

近江幸治先生・契約法第3版

現代語化等に対応しました。
また、サブリース契約あたりの記述も注目されます(近江先生は判例支持)。

近江幸治『民法講義V 契約法 〔第3版〕』(成文堂・2006年)
http://218.216.69.71/seibundoh/book_s/bookinfo.asp?No=2496
[PR]
by meronpanss | 2006-10-24 20:08

最初と最後に読める本

勉強の最初に、勉強のまとめに。

高木光=常岡孝好=橋本博之=櫻井敬子『条文から学ぶ行政救済法』(有斐閣・2006年)
http://www.yuhikaku.co.jp/bookhtml/012/012739.html

意外かも知れませんが、勉強の最初に読む本と、まとめに読む本は一致することはあります。
この本もその1冊ではないでしょうか。

この本に限らず、「優れた」入門書は試験前にも役に立ちます。
入門書、あなどるべからず、だと感じています。
(ほかにも、三井=酒巻『入門刑事手続法』など)

行政救済法(国家賠償法、行政事件訴訟法)が独立の科目として設置されていないLSに通っている方にとっては、塩野先生、芝池先生レベルの救済法の本を読む時間もないかと思います。その場合、この本は役に立つと思います。

また、条文の順番に整理されているので、短答対策の知識整理ツールとしても威力を発揮するのではないでしょうか。
[PR]
by meronpanss | 2006-10-23 22:31

インタビュー記事

心に染みるインタビュー記事でした。

『天使の卵』小西真奈美 単独インタビュー (Yahoo!映画。インタビュー)
http://movies.yahoo.co.jp/interview/200610/interview_20061019001.html
[PR]
by meronpanss | 2006-10-20 12:53

今日のおやつ20061018

新製品のご紹介です。

パティシエ高木が想いを込めて大人に贈る2つのプレミアム ネスレ キットカット ショコラティエ 「ストロベリー&ナッツ」「抹茶&きなこ」10月16日(月)より期間限定で全国発売開始
http://www.nestle.co.jp/NR/rdonlyres/79A0DCBE-6713-48D2-8CB8-CABCD49C8D7D/0/060927_096_KITKAT.pdf

※pdfです。

既にスーパー等に並んでいます。私も今日買いました。
ただ、やや高いのが難点でしょうか。
[PR]
by meronpanss | 2006-10-18 19:56

判例について考える

読んでみました。

田宮裕「刑事訴訟法における判例と学説」法学教室74号38頁以下。

判例の重要性を考える上で、有益です。
[PR]
by meronpanss | 2006-10-13 21:33