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心に、響く、ことば

 コンビニやファーストフード店の接客マニュアルのおかげで、アルバイトさん達は、誰に対しても、「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」と笑顔で言ってくれる。しかし、それはあくまでマニュアルに従ったことばに過ぎない。心からのことばではない。
 このような現象は、コンビニやファーストフード店だけでなく、プライベートの場でも広がっているのではないか。プライベートの場でも、浮ついたお世辞が並ぶ。言われて悪い気はしない言葉が並んでいる。まるでどこかのマニュアルに従っているかのように。
 しかし、一方で本当に心に響くことばに接することが少なくなったように思える。
 心に響くことばを定義するのは難しい。ただ、心に響くことばとは、やはりその人の心の底から発せられたことばだと思う。その人の全身全霊がこもったことばだと思う。それゆえ、重みを感じ、自身の心のどこかに響くものがある。
 表面的なことばは、心に響かず、ただ消費されていくものではないか。聞いて悪い気もしないが、聞いていてむなしさもある。心に響かないことばに接すれば接するほど、むなしさを覚える。現在は、表面的なことばのオンパレードなのだろうか。
 今流行の「国語教育復活論」を本当に実施すれば、「美しい」日本語は復活するだろう。敬語の誤用などはなくなるかもしれないし、誰もが美しい日本語を話すかも知れない。しかし、本当に心に響くことばを、誰もが発するようになるとは、到底、思えない。
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by meronpanss | 2006-04-30 23:01

新会社法を学ぶ

大阪学院大学法科大学院のホームページから
http://www.osaka-gu.ac.jp/l_school/index.html

トップページに、
法科大学院公開講座「新・会社法を読み解く-企業法務の新たな展開-」
お知らせがある。5月1日までが申し込み期限だそうである。ご関心のある方はどうぞ。
(直接リンクがはれないので、トップページからたどって下さい)
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by meronpanss | 2006-04-29 17:40

処罰「できない」のか処罰「しない」のか

問題1
X女は近くのドラッグストアから、3000円相当の化粧品をポケットに入れ店外に出たところを、警備員に発見され、警察に引き渡された。X女には何罪が成立するか。

問題2
X女は近くのドラッグストアから、3000円相当の化粧品をポケットに入れ店外に出たところを、警備員に発見され、警察に引き渡された。その後身柄は検察官送致された。
あなたが検察官だとして、X女にどのような刑事処分をするか。

問題1と問題2は同じ事案であるが、問われ方が異なっている。問題1では、「窃盗罪が成立する」(可罰的違法性の問題は除く)が解答になろう。一方で、問題2では「窃盗罪が成立するが、起訴猶予処分にする」という解答になるのではないか。

この事例から明らかなように、検察官の訴追裁量制度(刑事訴訟法248条)を採用している我が国では、犯罪が成立しないから、処罰「できない」場合と、犯罪は成立するが、刑事政策上、処罰「しない」場合にズレが生じることになる。

しかし、この訴追裁量制度は、刑法の理論を考えるに当たって、やっかいな問題を生じさせることになる。

例えば、不真正不作為犯が1つの素材となろう。山口厚教授が指摘するように、不真正不作為犯について現在の実務では謙抑的な姿勢がとられているのは事実だと私も思う。しかし、その原因は、現場の検察官が「不真正不作為犯は刑法上成立しないから(処罰できないから)、訴追しない」と考えているのか、「不真正不作為犯は成立するが、立証の困難性や刑事政策の観点から、訴追しない(処罰しない)」のかどちらか不明である。

私自身、不真正不作為犯の事例を考えるに当たって、「検察官だったら起訴しない事案だろうな」と思うことがあるが、それは犯罪が成立していないのか、それとも犯罪は成立しているのだが、起訴しない事案なのか分からなくなる。

正直、この問題は検察実務に携わらない限り分からないものと思われる。犯罪が成立するか、しないかは至って理論的であるが、起訴するか、しないかは至って実務的であり、「実務感覚」が問われるのだろう(もちろん、前提として、犯罪が成立するかしないかの検討は必要)。

しかし、検察官が、(「実務感覚」を問えない)司法試験の延長で、実務に携わった場合、何でも起訴されてしまうかもしれない。「実務教育」が手薄となれば、犯罪が成立すれば起訴、という風に考える検察官が増える気がする。厳罰化の流れはそれを助長する可能性がある。

ただ、そのような事態は2つの意外な帰結を生むことだろう。1つは、刑事弁護の役割が極めて重要になる、ということである。これまでのように、検察官の主張を鵜呑みにして、後は情状勝負、だけでは済まされなくなるかも知れない。もう1つは、起訴される事件が増えれば、それだけ裁判所という公の場で判断される事件が増えることから、刑事法の理論を発展させる契機になるということである。すなわち、これまで起訴されなかった事案が、刑事判例という形であがってくることによって、犯罪の限界付けが明らかになってくるかも知れない。それゆえ、厳罰化の流れによって起訴件数が増えれば、皮肉にも、刑事法の理論を発展させる契機になるように思われる。だからといって、厳罰化が正しいかは判断を留保しておきたいが。

※もちろん、正確には処罰するかしないかを決めるのは裁判所である。その意味で、このエッセイのタイトルを正確に付ければ、処罰「できない」のか、処罰「しようとしない」のか、になろう。
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by meronpanss | 2006-04-29 06:32

事実婚の研究

二宮周平『事実婚の判例総合解説』(信山社、2006年)
http://www.shinzansha.co.jp/060428hannreisougou.html

法律婚制度がある以上、少なくとも、自発的に事実婚(内縁)を選んだ当事者には、法律婚の効果を準用する必要はない、との議論がある。確かに、それには一理あるように思えるし、スッキリした論理である。だが、そこまで言いきっていいものか私には判断がつかない。当事者が事実婚をあえて選択したとはいえ、その後生じる問題は全て当事者の責任、と言い切って良いのか悩みは感じる(例えば、事実婚において、配偶者相続権はないわけであるが、その埋め合わせとして出てきたのが、(死後)財産分与の類推適用論である。二宮教授はこれを認めるが、まだ多数説的見解に至っていない。私はこの問題について、見解をまだ留保している)。

※久々の民法トピック。
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by meronpanss | 2006-04-28 02:58

他者への共感

以前紹介した本からの引用。

石田衣良「ひとりぼっちのきみへ」
(『空は、今日も、青いか?』(日本経済新聞社、2006年)216頁)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532165539/qid=1146158339/sr=8-1/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-3329481-9352221
「他者に共感する力と想像する力、それをきちんと磨けば、かなりのところまで他人の気もちだって理解できるのだ。またそうでなければ、小説や映画など成り立つはずもない。すべては他人の物語にすぎないのだから。
 ぼくがきみに期待するのは、この共感と想像の力なのだ。誰にも理解されずにひとりぼっちなんて思いこんでいないで、自分のほうから他者を理解する気もちを開いてみよう。心をつなげるための力を育ててみよう。もちろん完全に理解することなどできないかもしれない。ぼくたちは自分自身のことさえ、いつだってわからなかったりするのだから。でも、ときには驚くほど誰かと気もちがつうじることだってあるかもしれない。そしてそれはとても素晴らしい瞬間なのだ」
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by meronpanss | 2006-04-28 02:26

自白「強要」と国家賠償訴訟

自白強要訴訟:「違法なし」と実刑女性被告の控訴棄却(MSN-Mainichi INTERACTIVE。毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060427k0000e040080000c.html
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by meronpanss | 2006-04-27 15:53

違法収集証拠?

証拠調べ請求が却下された事例。
しかし、再検証される見込み

ポケットの覚せい剤、落ちたのか押し出したのか再検証(YOMIURI ONLINE。読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060427i506.htm?from=main5

却下した当時の裁判長は、朝山芳史裁判長であるが、刑事手続に関する論稿もある著名な方である。
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by meronpanss | 2006-04-27 15:30

刑法改正成立

窃盗罪への罰金罪が付加された。

窃盗罪などに罰金刑導入、改正刑法が成立(asahi-com。朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0425/TKY200604250326.html

立法者および賛成派も、反対派も「刑の引き下げ」ということを言わない。しかし、形式的に考えれば、刑の引き下げには変わりないだろう。従来懲役刑が選択されていたケースで、罰金刑が選択されることもあり得るのだから(「立命館の」M先生もこの立場のような気がしますが、違っていたらスイマセン)。

今回の改正は基本的には妥当である、と私は考えている。
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by meronpanss | 2006-04-25 21:57

債権各論

注目すべき1冊である。

川井健『民法概論4債権各論』(有斐閣、2005年)
http://www.yuhikaku.co.jp/bookhtml/comesoon/00046.html
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by meronpanss | 2006-04-25 20:05

金井先生の独占禁止法

独占禁止法分野でのメジャーな教科書が、近く改訂される。新司法試験で経済法を選択する予定の人は、チェックしておく1冊だろう。

金井貴嗣『独占禁止法 〔第二版〕』(青林書院)2006年5月刊行予定
http://www.seirin.co.jp/bin/view/014035.html

私は学部時代、金井先生の独占禁止法を履修・聴講した。朝1限でつらかったが、1回も欠かさず出席した記憶がある。学生に自分の頭で考えることの重要性を、常に強調されていた先生であった。
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by meronpanss | 2006-04-25 00:02