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松井茂記の憲法観

松井茂記『日本国憲法[第2版]』(有斐閣。2002年)、4-5頁より以下引用

 筆者は1955年に生まれた。「戦争を知らない世代」といわれたベビーブーム後の世代である。大学紛争のあとの挫折感と無力感が広がりつつある時代風潮の中で、われわれの世代は「シラケ世代」だとも呼ばれた。燃え上がるような情熱で社会を変革しようとしても、結局何もできないことを切実に感じた時代である。何事であれ「さめた目」で見てしまうことがわれわれの世代の共通項かもしれない。
 だが、そのおかげで、われわれの世代は、それまでの世代とは異なり、日本国憲法に対してもさめた目で見ることができた。また、結局のところ何もできないのは、われわれ自身が過去の思考の呪縛にとらわれて、自由な発想ができないせいであることも分かった。これを打ち破られなければ、未来はない。その結果、われわれの世代は、日本国憲法を見直し、過去の憲法学と異なる憲法学を打ち出すことができた。本書に示したアプローチは、筆者なりの見直しの結果である。
by meronpanss | 2004-06-27 17:51
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