会社法A2Zより

会社法A2Zには、野村修也先生(中央大学法科大学院教授・弁護士。金融庁顧問・新司法試験委員)の「わかりやすい新会社法」の連載があります。その中から、競業避止義務についての部分の引用です。

野村修也「わかりやすい新会社法18 機関Ⅶ取締役の忠実義務に関する諸規定」会社法A2Z20号37頁
「改正前の商法264条の解釈では、『自己又は第三者のために』の文言のうち『ために』の部分をどう解釈するかをめぐって、法律上の効果帰属と考える名義説と、経済上の利益の帰属を考える計算説が対立していました。その背景には、今回の改正で廃止となった介入権の適用要件が、『自己のために』の場合に限定されていたことから、その解釈如何によって適用対象が異なるといった事情がありました。
 しかしながら、法律上の権利であれ経済上の利益であれ、その帰属先は自己であるか第三者であるかの二通りしか考えられないわけですから、その組み合わせは四通りしかなく、『ために』の意義をいずれに解そうとも、その四つがすべて適用対象になる点には変わりはありません。したがって、会社法の下では、認定の明確性に配慮し、名義説をとるのが妥当だと思われます」

結論同旨の説明は、次の文献にもあります。
相澤哲ほか『論点解説・新会社法-千問の道標』(商事法務・2006年)324頁
「356条1項1号の『自己又は第三者のために』とは、『自己又は第三者の名義において』という趣旨である。『自己又は第三者の計算において』と解する見解(計算説)もあるが、介入権が廃止された会社法においては、計算説をとる実益はなく、また、会社法では、『ために』と『計算において』(120条1項)とは区別して用いられていることから、356条1項1号についても、民法99条と同様、『名義において』と介すべきことは明らかである」

会社法の下では、もはや名義説でよいと私も考えます。
[PR]
by meronpanss | 2006-12-11 20:42
<< とある論文集 試験対策にどうぞ >>