入門書として、啓発書として最適であろう。と言っても、「サルでも分かる」レベルではないが。
神田秀樹『会社法入門』(岩波書店、2006年) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004310059/qid=1146942103/sr=8-1/ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl/250-8762789-2761000 その中から引用。 「対価の柔軟化や三角合併の導入は、買収をしやすくするものであるが、敵対的な買収(買収の対象となる会社の経営陣がその買収に賛同していない場合をいう)の手段となるわけではない。なぜなら、会社法上、合併や株式交換などは、合併契約や株式交換契約が必要で、かつ原則として買収の対象企業の株主総会決議が必要であり、対象会社の経営陣の賛同がなければできないからである。したがって、対価の柔軟化や三角合併の導入は外資による日本企業の買収の脅威を高めるという警戒論は、敵対的な買収の手段を与えるという意味ではなく、対象会社の経営陣が賛同するような友好的な買収の手段を広げるのもよくないという意味に理解しなければならない。もっとも、第5章で述べるように、まず敵対的に対象会社の株式を買い集めて、その会社の取締役等を入れ替えたり、あるいはその会社での株主総会の多数を制することができれば、その後は合併や株式交換を意のままにすることができる(これを敵対的な「二段階買収」と呼ぶ)。いずれにせよ、世の中の買収の圧倒的多くは、国内のものであれ、国をまたいだものであれ、友好的なものである。そうした買収の手段を広げることとした対価柔軟化や三角合併の導入は、基本的には組織再編の自由度を高め、経済の発展に資するものであると考えられる」(164-165頁) 一流の商法学者による冷静・的確な意見である。 会社という制度が誕生してから、一定時期が経過すれば、組織再編という制度は必然となる。組織再編というのは、決して敵対的買収だけではない。組織再編制度は、非効率的な組織を再編するツールとして、むしろプラスの面が大きいように思える。 「組織再編→対価の柔軟化→外資による乗っ取りの横行」という安易な思考は厳に慎むべきであろう。
by meronpanss
| 2006-05-07 04:03
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