人気ブログランキング | 話題のタグを見る

法律学の論理と経済学の論理

今日の日経新聞(2005-12-28)の25面「経済教室」は、「金利と日本経済 下・金融の正常化を急げ」ということで、菅野雅明・加藤出両氏の連名による署名記事である。
記事では、「ゼロ金利」政策に依存することの危険性を強く主張している。私は金融の専門家でもないので、詳しいことは何とも言えないが、極めて迫力のある署名記事であった。
記事の最後に書かれた「八〇年代の過ちを再び繰り返してはならない」とする部分には、強く同感。

ちなみに・・・
法律学をやっていると、経済学者などの言う論理に納得がいかないことがある(今回の記事のことではい)。
国の財政は破綻寸前であるのは周知の通りで、私からすれば、国債の発行額を減らし、国債を返済していこうとする「財政再建路線」というのはよく分かる。借金というのは、返すのが筋だからである。しかし、主流の経済学者は「(財政再建路線は)いけない」・「借金が増えても、市場で消化できているからいいではないか」と言う(ただし、タイミングの問題は別問題である。橋本政権時の財政再建政策は、タイミングに問題があったように思われる)。
ゼロ金利政策や借金棒引き(債権放棄)政策も、法律学の論理ではよく分からない。が、経済学者の多くはこの政策に賛成しているようである。
また、金融機関の検査を裁量から、ルールに従ったものにするということで、金融庁(当時は金融監督庁か?)によって「金融検査マニュアル」が策定されたが、経済学者の中には「ルールによる紋切り型の検査・監督が、貸し渋りを生じさせ、金融システムをおかしくした」とのたまう人もいたような気がする。「法律による行政の原理」を知らないのだろうか?と言いたくなる。

もちろん、経済学をやっている人からすれば、「法律学者の言っていることはよく分からない」と言うのであろう。両者の対話は必要である。両者は本来、排斥関係にあるのではないのだから。
by meronpanss | 2005-12-28 17:46
<< バークレーからの発言 意外な共通点 >>