この前、紹介した記事。
[焦点]ニッポン放送買収、舞台裏で展開された弁護士・学者意見書の争奪戦(ロイター) http://www.reuters.co.jp/financeNewsArticle.jhtml?type=industriesNews&storyID=7985426 記事によれば、 ニッポン放送側の顔ぶれには、商法や証券取引法の大家で現役の東京大学教授をまじえた大物学者が含まれる。日本全国、西の大学から東の大学までを網羅する勢いだ。 しかし、裁判所は一貫してライブドアに軍配を上げた。大物学者の見解を一蹴(言い過ぎ?)したのである。 ミクロレベルでは色々反論があろうが、今回の事件で、裁判所が一貫した結論を示したのは、司法の見識を示したと思う。 ※ライブドアVSフジ・ニッポン放送で最近思うこと 法廷の場では、ライブドアが勝利した。しかし、これはライブドアがフジ・サンケイグループを乗っ取ったことを意味しない。堀江スタイルが成功するのかはまだ分からないからである。はっきり言うが、法律家としては、それは知ったことではないし、それを知る必要もない。法律家が判断すべきなのは、「ライブドアから守るために、ニッポン放送が新株予約権を発行することが認められるのか?」という1点である。 今後、有名タレントが降板を宣言したり、ニッポン放送の社員が労組をつくることを計画しているなど、まだまだ堀江氏にはクリアーすべき課題は多いと思われる。 色々憶測があるが、ニッポン放送の社員の反発は本心だと思われる。やはり、堀江スタイルへの不安はあるのだろう。その気持ちは十二分に理解できよう。 しかし、これは他の業界にいる人からみたら、ずいぶん悠長な話ではないか? 護送船団といわれた金融界では、会社が乗っ取られたりして、経営トップが変わり(しかも、トップは外国人であることも多い)、新しいビジネス慣行が持ち込まれることが平然と行われている。この是非は別として、これが現実なのである。他の業界も、似たような状況であろう。 そのような社会情勢の中、ニッポン放送の経営陣・社員は「堀江氏はラジオを愛していない」と言い、堀江氏を拒絶する。感情的に受け付けないのである。気持ちは確かに理解できる。が、そんな理由で、新株予約権の発行が認められたり、堀江氏の会社乗っ取りが否定されるならば、ルールもビジネスもへったくれもない。愛があればいいのか。逆に、愛がなければならないのか。 どうしても、ビジネスの目的とされるのがいやなら、ニッポン放送は閉鎖会社にするなり、政府・与党に頭を下げて、国営化されればいいのではないか?国営化すれば、今度は政治家の圧力があろうが(皮肉)。 今回の騒動で、メディアの現場にいる人間の良かれ悪かれ「特権意識」を感じる。今回の新株予約権の発行計画も、「天下のニッポン放送が、『公共性高き』会社を守るために、ルールを少しぐらいねじまげることは許されるべきだ」とのおごりがあったように思われる。こういうものを見せつけられると、世論はフジ・ニッポン放送を支持したくはなくなるだろう。堀江氏を支持していない人が、フジ・ニッポン放送を支持しているとは限らない、ことにはくれぐれも留意すべきである。 ニッポン放送は法廷の場では完敗した。しかし、ニッポン放送が全ての面で完敗したわけではない。堀江氏の支配がいやというならば、それこそ説明が必要であろう。堀江氏に乗っ取り後のビジョンを示すことを要求するならば、ニッポン放送も自分たちのこれからを示す必要があろう(まさしく、その説明に失敗したから、ニッポン放送は法廷の場で負けたのである)。
by meronpanss
| 2005-03-25 01:58
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